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近年、パーソナルコンピュータの飛躍的な発展により、必要以上の計算機能力をもった計算機が導入され、計算機資源は余剰な状態にある。またネットワーク技術も平行して発達し、ネットワークインフラストラクチャの整備が進んだことから、世界中にわたる計算機を共有することが可能となっている。それら余剰な計算機資源を有効に利用するためネットワークで共有し、仮想的でかつスーパーコンピュータに匹敵する計算能力を提供する技術がグリッドコンピューティング技術である。
グリッド技術はあらゆる分野での応用が期待されているが、とりわけ医療、創薬の分野への期待は高い。近年のコンピュータ技術の進歩により遺伝子情報の解析が飛躍的に進み、解析されたデータが世界中の研究機関において、分散管理されている。それら解析されたデータをデータベースに蓄え、実験結果から配列の検索、類似性の探索、化合物シミュレーションといった、計算機能力を必要とする要求が発生している。
現在、グリッド技術は黎明期であり、グリッド基盤や、グリッドアプリケーションの利用までの環境を構築するためには、情報技術者の力が必要となり、他の分野で活躍する研究者や技術者にとって、グリッド技術を利用するのは非常に困難である。そこでグリッド技術を他の分野で活躍する研究者や技術者にとって使い易いインターフェイスを用意し、グリッドへのポータルアプリケーションを構築する。
本アプリケーションではメインターゲットを創薬の分野とし、グリッド環境上に配置したアプリケーションおよびデータベースを安易に操作できる環境を提供し、医療・創薬分野の研究効率を飛躍的に向上させることを目的とする。グリッド環境上において、利用するアプリケーションは、医療、創薬の分野ではもちろん生化学の分野でも使用されているBLAST, ClustalWを対象としている(2003年7月現在)。また、構築するシステムをGUIDE (A Grid User Interface to the Distributed Environment) と命名する。
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1、操作性
初期のグリッドコンピューティングでは、大規模な計算リソースを必要とする研究者向けにシステムが構築されてきた。大規模リソースを扱う計算を行う研究者はコンピュータを操るスキルを持っているので、操作感を追及するようなことはなかった。しかし、近年のグリッドコンピューティングは、計算機を主として扱うような研究者以外の人々にもグリッドのリソースを提供することが求められている。それゆえ、使いやすさが重要なポイントとなる。
2、拡張性
グリッドコンピューティングはコンピュータ技術の革新をもたらす技術である。グリッドコンピューティング単体で効果を発揮するものではない。グリッド上で実行されるプログラムや利用手法によってその真価が問われる。よって、グリッドのポータルとしての機能を発揮するには新しいプログラムに対応できる拡張性が求められる。
3、アプリケーションワークフロー
GUIDEを構築するにあたり、創薬において実際に使用頻度の高い2種類のソフトウエ ア、BLASTおよび ClustalWを選択し、2つのソフトウェアの連携が容易となるよう考 慮されている。
これらのの2つは創薬において日常的に使われるソフトウェアであるため、GUID Eの提供するソフトウェアワークフローにより、効率的な創薬研究が可能となる。
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コンピュータを用いた解析は、計測機器として、あるいは、生化学的な実験検証の論拠として利用されることはあっても、新薬開発のための中心的な技術ではなかった。しかし、近年、コンピュータは急速な発展とともに創薬において重要な役割を担うようになってきている。新薬開発にともなう創薬というプロセスで、生体内での薬効の複雑な関係を知るためにコンピュータを導入した手法が必要とされるようになってきたのである。創薬では開発の各フェーズごとに様々な手法が存在し、研究者はこれらの手法に対応したツールを組み合わせて使用する。GUIDEでは創薬で利用される各ツールを使用するにあたり、グリッドの計算力を用いると同時に、ツール群を実際の利用にあった形で統合し、そのツール群でのシームレスなデータ交換を実現しようとするポータルシステムである。
創薬に関わるツール
GUIDEには、創薬プロセスの初期の段階で用いられるバイオインフォマティクスツールのインターフェイスが実装されている。
以下にインターフェイスが実装されたツールを示す。
BLAST ... BLASTはバイオインフォマティクスでもっともポピュラーなツールである。このツールはデータベースに登録された遺伝子の配列とユーザがクエリとして与える配列を比較する。クエリとして与えた配列と似通ったデータベース中の配列は点数付けされ、表示される。
さらにBLASTについて知りたい方は NCBI DDBJ のサイトをご覧いただきたい。
ClustalW ... ClustalWにはユーザがいくつかの塩基あるいはアミノ酸配列を与える。与えられた配列は似通った部分を対比するように並べられていく。似通った部分を整列することで、遺伝子の機能の類似部位の確認や遺伝子の進化の様子を推測することができるようになる。
さらにClustalWについて知りたい方は EMBL DDBJ のサイトをご覧いただきたい。
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GUIDEは様々な問題を抱えているが、それら解決すべく将来実装する予定に挙がっているものを以下に記述する。
操作性の向上
操作性の最終目標はGRIDの存在をユーザに意識させないことである。
現在ではジョブを投げる際、ホスト名の選択やリソースを検索させており、透過性で実現されていない。この透過性をユーザインターフェイスで実現し、ユーザにGRIDを意識させ ないことが目標である。
機能拡張
Bioinfomaticsが抱える問題点として、パラメータの量がある。Bioinfomaticsにまつわるアプリケーションの多くは、 膨大な量のパラメータを備えている。創薬のプロセスでは、複数のアプリケーションを利用するため、それら多くの パラメータを用意する必要がある。しかし、研究者にそれら全てのパラメータを覚え、アプリケーションを複数使い こなす事を要求するのは非常に困難である。したがって、GUIDEではパラメータの履歴を残し、かつ履歴にそって ワークフローを形成する仕組みを組み込むことを考えている。
ツールの追加
現在、BLASTとClustalWのインターフェイスのみがGUIDE上に実装されている。しかし、創薬のプロセスでは実際には さらに多くのツールが使用されている。(例えば、FASTA, SSearchなど)今後、GUIDEを拡張するに当たってはさらに ツールを追加する予定である。
ミドルウェアへの対応
GUIDEはGlobus2.0しか対応していない。しかし将来性を考慮して、Globus2.2以上、OGSAやWeb Serviceといった、 GGFによる標準化案の対応など、様々なミドルウェアに対応していく必要がある。