研究テーマ
超高圧電子顕微鏡データのリアルタイム解析技術の開発
タンパク結晶回折データ遠隔収集システムの開発

データ遠隔収集システムグループの研究・開発は、GGFで標準化が進められている数あるグリッド技術の中の「協調作業と遠隔操作(Collaboration and remote instrumentation)」技術と位置づけられる。この技術開発については、これまであまり着手されておらず、本プロジェクトで面白い展開が期待できる。

大阪大学の超高圧電子顕微鏡や大型放射光施設SPring-8など、グリッド環境に接続された高性能で希少な観測装置の遠隔利用や、ユビキタス・ロボットが広域で収集したさまざまな情報を共有・解析するためのグリッド・アーキテクチャの構築とインフラ作りが本グループの課題である。また従来、そういった観測データは研究者間で共有されることがなかったが、データグリッドシステムへと拡張し、多様な研究者がデータをシェアし解析することによって、新しい知見につながる可能性を提示していきたい。

1.超高圧電子顕微鏡の遠隔利用
超高圧電子顕微鏡の遠隔利用については、サンディエゴのスーパーコンピュータセンター(San Diego Supercomputing Center)、University of California,San Diego(UCSD)、またその可視化技術については台湾の国家高速電脳中心(National Center for High Performance Computing)と共同研究・開発を進めている。
超高圧電子顕微鏡の遠隔操作および観測データをデジタルデータとして共有する、この技術・開発のコンセプトを、アメリカの神経生理学者マーク・エリスマンは「テレサイエンス・ポータル」と提唱している。現在、IPv6 上での広帯域伝送として行われるという意味では、最もグリッド的なアプリケーションとなっている。
アーキテクチャ図の説明:

超高圧電子顕微鏡に接続されたCCDカメラでイメージを撮影
リアルタイム情報をインターネットで研究者に
研究者が撮影する場所を指示
スタティック・カメラを回転させながらイメージを蓄積
蓄積されたイメージデータをスタティックなイメージサーバーに送る(これがSRB:データ共有ミドルウェアの仕掛け。大阪大学の中から入力したデータが、グリッド上でシェアできる環境になる)
サンディエゴより遠隔操作、複数のコンピューター上で分散・処理することもできる。


2. SPring-8:X線のリモート遠隔観測システムへの転用
前述の超高圧電子顕微鏡で構築したシステムはSPring-8への転用が可能である。まずは外部接続をギガ対応に上げることから着手し、 ネットワークを整備した。

3. デモンストレーションによる問題点の抽出

遠隔観測システムは実際に広域ネットワークを使ってデモンストレーションし、その中で出てきた問題を解決しながら技術を向上させるというアプローチを行っている。また、ネットワーク側の問題は実際にやってみなければ、どのような問題点が存在するかが予測できないため、対応可能な範囲を把握するためにも、こういったデモンストレーション・チャレンジは本研究に非常に有効である。2002年度は国際会議「iGrid」(*1)「SC2002」(*2)で実験を行った。

(*1) 広域高速ネットワークとそれを利用するためのミドルウェア、アプリケーションがもたらす可能性を示すために1998年より2年ごとに行われている国際的なイベント。
(*2) グリッドコミュニティのメッカとも言える国際会議。欧米の主要な研究機関は、この国際会議をターゲットにいろいろなアプリケーション開発を行っている。
1. SPring-8の遠隔利用システムのグリッド化
2. 超高圧電子顕微鏡遠隔利用システム拡張
  • HDTV品質の解析、ネットワーク環境の整備
  • 収集したデータにメタデータを付与して登録検索機能を実現し、データグリッドとうまく融合するアーキテクチャを探る
3. その他の展開
  • ECO GRID(台湾NCHC)の紹介
    ECO GRIDプロジェクトはレーダーやセンサーを使ったエコロジカルリサーチを支援するためのグリッド環境を構築しようとしている。ここに本プロジェクトのデータオンライン収集の枠組みを広げていきたい。


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