研究開発の概要
 スパコンネット上に分散した観測装置や、巨大で多様なデータベースを統合的かつ安全に連携処理するデータグリッド技術、そして、それぞれのデータベースの有機的な連携利用や多大な計算資源を必要とするデータ処理の橋渡しを実現するコンピューティンググリッド技術を開発する。こうして、将来的なスパコンネットワーク環境の基盤技術、すなわちペタバイト級のデータをペタフロップス級の分散コンピュータで処理するペタグリッド技術を実現する。これらの技術開発は大阪大学およびその周辺の関連研究機関が世界的にリードしている医学、生物分野に特化したIT応用研究として展開する。実証実験は高度な計算機資源とネットワーク資源が集約されているサイバーメディアセンターを核とし、高速ネットワークを通じて連携する周辺国立研究機関や民間企業・研究機関等で行い、バイオインフォマティックス分野におけるペタグリッド技術のビジネス展開と人材育成を行う。本プロジェクトは、生化学、情報科学、計算化学、物理学、医学、薬学を融合したin silico創薬分野への新展開を担うだけでなく、同様な技術を必要とする他分野でのスパコンネットにおける基盤技術を確立するものであると期待できる。
プロジェクトの目標
 科学技術の進歩により、高機能な解析装置を使って細胞レベルや脳機能を直接解析することが可能となりつつあります。また、生命現象の根幹を極め、未来の医療に貢献する蛋白質の立体構造や遺伝子情報が次々と解明されています。本プロジェクトではスーパーコンピュータネットワーク上に分散配置された観測装置、巨大で多様なデータベースを連携して、セキュリティの保たれた環境で統合的にアクセスするための「データグリッド技術」を開発します。それとともに、それぞれのデータベース間での真に有機的な連携利用、極めて高速な計算資源を必要とするデータ処理を橋渡しする「コンピューティンググリッド技術」を開発します。
 このプロジェクトから得られたデータやコンピューティングに関する次世代技術とノウハウは、in silicoによる医薬開発や生体機能解明などを現実のものとするだけでなく、同様な技術を必要とする他の分野でのスーパーコンピュータネットワークにおける基盤技術を確立することを目標としています。
産業界および他プロジェクトとの連携
 バイオグリッド・プロジェクトでは、研究開発成果の産業界へのフィードバックを視野に入れ、以下のような取り組みを行っています。また、バイオ関連研究機関や組織と連携・協力しつつプロジェクトを推進していきます。
  1. 知的財産権管理の研究
    開発された要素技術やシステムの特許化、ライセンス供与など知的財産権のビジネス化の検討を行っている。
    弁護士、弁理士、会計士、キャピタリスト等からなるアドバイザリ−によるベンチャービジネス創生の検討を行っている。

  2. 研究開発に関する協力関係
    技術開発に直接結びつく研究シーズよりの部分で情報関連企業に所属する第一線の研究者が携り、最先端の技術動向を反映した研究開発を推進している。

  3. グリッド基盤システムの実践的評価
    開発された成果が真に使えるものになるためには、利用者からの要望を満たすことが必要になる。そのため、製薬企業7社からなる創薬研究会を組織し、創薬の現場からの実践的評価を実施し、シーズとニーズのバランスを念頭においた研究開発を推進している。

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